学長メッセージ




HP更新用② (1)
SDGs達成に繋がる「社会知性の開発」をめざして
(Senshu-Socio-Intelligence for SDGs)

 専修大学21世紀ビジョン「社会知性の開発」とは、学生が自らの目標に向かい、全力で打ち込んで得た知識や技能を、自分だけのものとして完結させず、社会、例えば家族、所属組織そして地域が抱える諸課題の解決のためにも積極的に活用しようとするマインドを醸成すべきという教育目標を意味しております。そのようなマインドを身につけるために、本学は、深い人間理解につながる教育、倫理観を重んじる教育、独創的発想を促す教育そして地球的視野を持たせる教育を重視することを人財育成の肝に据えております。

 ところで、近年、SDGs(エスディージーズ):Sustainable Development Goals(「持続可能な開発目標」の略称)という用語をよく耳にするようになりました。2015年に国連サミットにて策定されたSDGsとは、誰ひとり取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき国際社会共通の目標とされております。SDGsの理念は、持続可能性という必要条件を満たしたうえで、世界が2030年を目途に解決しなければならない諸課題を地球に生きる我々自身への問いかけとして、17の目標(169の具体目標)の形で可視化し、その目標達成のための行動を求めるというものです。このようなSDGsの理念は、「社会知性の開発」をめざす専修大学の教育目標とシンクロしていると実感します。つまり、本学が取り組む「社会知性の開発」は、SDGsの達成にも繋がるものと考えております。

 本学教員によるSDGsへの取り組みは、すでに講義やゼミナール、そして研究?社会活動の場で始まっております。例えば、「ジェンダー平等を実現」するため、ジェンダー知性の開発を目指して-法と社会の中に潜むジェンダー(社会的性差)問題について考える-学際科目(ジェンダーと法)の設置ならびに男女共同参画を目指すため統計の在り方をジェンダーの視点で検討する研究や女性起業家への支援策の研究が行われたり、「つくる責任つかう責任」を求めて、農林水産省や東京都などが推進している食品ロス削減のための社会活動への関与等がみられます(専修大学におけるSDGsの取り組み一覧参照)。また本学学生もSDGsに強い関心を抱いており、ゼミ単位で「SDGsの認知度」を高めるための活動や「大学というシステムそのものがSDGsに貢献できることは何か」について活発な議論が展開されております。

 社会や人々を取り巻く諸課題を研究対象とする“大学”という環境において、学生たちが生きる未来にわたって持続可能な社会を形成していく手立てを探究する活動は、従来の教育研究活動の中で展開されてきたものとも言えます。本学は、こうした教職員や学生諸氏が取り組んでいるSDGsに資する様々な活動を整理し社会に示すだけでなく、今後は本学が組織として目標設定する新たな活動にも取り組んでいきたいと考えます。

 SDGsは、本学独自の取り組みに留まるものではなく、他者とも連携することで、より大きな成果をあげることができると確信しております。この意味で、本学は、SDGsに関わる活動のインフルエンサーとなるような役割も今後果たしてゆければと思います。SDGs達成の目標期限とされる2030年は、本学創立150周年とも重なります。来る2030年には、本学がSDGsのために何をしてきたのかを胸を張って自覚できるようになればと願っております。

専修大学長 佐々木 重人